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阿 蘇 高 菜 (あそたかな) 

 高菜=アブラナ科の越年草。カラシナの変種で、20〜60ほどの丈に成長する。原産地は中央アジアで、ミルクロードを通じて日本には平安時代に中国から入ってきたと云われている。近縁の野菜としてコマツナ、カツオナなどが知られる。西日本一帯で広く栽培され、江戸菜(えどな)との異称もある。品種や栽培方法によって変化するが、葉や茎は柔らかく辛味がある。辛味の成分はマスタードなどなどと同じイソチオシアン酸アリル。主に漬け物として食用される。
 特に熊本県阿蘇地方(阿蘇高菜)や福岡県筑後地方(三池高菜)での栽培が盛んで、この地域の高菜漬けは名物となっている。   
(フリー百科事典 ウィキペディアより)     


3月上旬、隣保組の皆さんで「高菜折り」が始まります。

阿蘇地方で栽培されている
高菜にはいろんな種類があります。

 45年ほど前に熊本県阿蘇事務所の指導のもとで各農家に種と樽を配布、「阿蘇高菜漬け」の普及と収入を目指しました。各戸で漬かった高菜漬けは農協に集められ、パック詰めにして関東関西に出荷されたそうです。その時の種が現在の「阿蘇高菜の主流」を占めています。

KIさんちの高菜(あざみ葉)
TAさんちの高菜(久住高菜?)
KAさんちの高菜
ERさんちの高菜
IBさんちの高菜(しゃくし葉)
 村ではどの家でも高菜が栽培されています、収穫前の高菜畑を見回り、話しを聞きました。
「昔からの高菜(県事務所の指導前)はピリッとして美味しかった。」と複数の方の話しから、昔ながらの「阿蘇高菜」を探す事にしました。
「葉がギザギザになっている」らしく、それらしい高菜を探しますが、「○○さんちの高菜が昔の高菜」と聞いては写真を撮りました。

 しかしどれも微妙に違っていました。この写真の中に昔の高菜があるのでしょうか。
高菜畑をよく観察すると、葉の形が違ういろんな品種?が混じっているのが分かりました。「今の高菜が美味しい」という方もいらっしゃいます。
 また、柄杓に似ている
「しゃくし葉」あざみの葉のような「あざみ葉」「久住高菜」と呼ばれる葉の切れ込みが深い形があるというのことも知りました。

「しゃくし葉」しゃくしのような形で茎が長く、現在阿蘇地方で広く栽培されている高菜で、「阿蘇高菜」の美味さはこの茎の部分です。
「あざみ葉」あざみの葉に似ています。大分県久住地方の特産物「久住高菜」も葉の切れ込みにもよく似ています。
 久住に近い阿蘇郡産山村や小国町では、
「久住高菜」が栽培されているのをよく見かけるそうです。いずれも、阿蘇地方久住地方の特産高菜でピリッとした独特の美味しさは変わりはありません。

 私の周辺の農家で昔ながらの「阿蘇高菜漬け」が多いように思いました。

  その他
 福岡県筑後地方で栽培されている、葉が広い白菜の形をしたものは
「三池高菜」です。
熊本でも、熊本空港付近の畑で栽培されていました。

 大牟田地方ではおにぎりを包んだりします。かって炭鉱に従事していた方は、坑内で大量の汗を流し、塩分補給のため、高菜の油炒めなどは弁当には欠かせなかったそうです。
 中双糖,醤油、みりんなどを加えた二度漬けもあるようで美味しそうです。

庭の家庭菜園で収穫中のEさんを訪ねました。
「葉がギザギザになっている」高菜です。
昔菜ながらの高菜でしょうか。
折る箇所は地上4〜5cmの柔らかいところから。
一握りくらいの束にして輪ゴムで止めます。
葉の上の方は食べないので、むしり取ります。
高菜漬け
 Eさんに会って久木野地方の「高菜漬け」について聞きました。
 先ず畑で収穫した高菜は、半日位干して輪ゴムを付けたまま塩もみをし、3〜4%の塩で漬け込みます。漬けてから一週間10日あたりが「新漬け」です。その後は、水分を良く切って、「本漬け」に漬け直します。
 
「本漬け」(保存用の古漬け)は、食べる時期を決めて、7月頃は塩を2%増,9月頃は4%増等と、樽毎に分けて塩をさらに加えます。古漬けで大切な事は、管理です。漬け物はビニール袋に包んで樽に漬けられます。日が経つにつれて水分が上がりますので、2〜3日おきには水分を丁寧に拭き取ります。放っておくと白いカビが浮き、高菜が腐れて異臭を放つようになりますので、油断は出来ません。きちんと管理された「高菜漬け」は、乳酸発酵により、茎が黄色く飴色になり独特のかおりになります。
2〜3日で水が上がります。
「新(浅)漬け」として食べます。
阿蘇地方では主に茎を食べますので
このように長めに切ります。
 阿蘇市の知人からいただいた「新漬け」は、阿蘇高菜のぶっ漬け」と呼ばれる漬け方で、ぶっつけ本番で「新漬け」と「古漬け」に分けて、塩加減をかえるだけです。塩揉みもしなくて「白菜漬け」と同じく、そのまま塩を振って漬けます。「しゃくし葉」ですが、美味しかったです。この漬け方なら私にも出来そうです。


久石地区の阿蘇高菜畑  この畑は「しゃくし葉」が栽培されていました。